新しいNISA制度とは、2024年から始まるNISA制度の改正された制度です。今までのNISA制度の非課税投資枠の拡大、非課税保有期間の無期限化、制度の恒久化などの点が改正されました。
これまでは
つみたてNISA:年間40万円非課税保有期間20年、全体で800万円
一般NISA:年間120万円非課税保有期間5年、全体で600万円
このどちらか一方しか使えませんでした。
新しいNISA制度は、以下の点が改正されました。
- 年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能。)
- 非課税保有期間の無期限化
- 口座開設期間の恒久化
- つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
- 非課税保有限度額は、全体で1,800万円。 (成長投資枠は、1,200万円。
これらの改正により、NISA制度はより使いやすく、長期的な資産形成を支援する制度となりました。
具体的なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 年間投資枠の拡大により、より多くの資金を非課税で投資できる。
- 非課税保有期間の無期限化により、長期的な資産形成をより有利に進められる。
- 口座開設期間の恒久化により、いつでもNISA口座を開設できる。
- つみたて投資枠と、成長投資枠の併用により、より多様な投資戦略が可能になる。
- 非課税保有限度額の拡大により、より多くの非課税投資が行える。
それではNISAを始めるにはどうすればいいのか?
まずは口座を作らなければ始まりません。
NISA口座の選び方
NISA口座は銀行、郵便局、証券会社のどこでも開設できます。
それぞれにメリット、デメリットがありますので、以下に解説いたします。
銀行、郵便局
メリット
窓口で相談できる。 いつも使っているから安心感がある。預貯金と一緒に管理できるから面倒がない。
デメリット
手数料が高め。選べる商品が少ない。クレジットカード等での積み立てが出来ない。担当者によって知識の差がある。
証券会社実店舗
メリット
窓口で相談できる。選べる商品は多い。わからないことは確認することが出来る。
デメリット
ネット系店舗よりも手数料が高いことが多い。店頭や電話で買い付けが必要なので面倒がある。
証券会社ネット店舗
メリット
手数料が安い。選べる商品も多い。
デメリット
わからないことは調べる必要がある。ウェブサイトの使い方などに慣れないと面倒である。
自分で調べることがそれほど面倒でない場合はネット系の証券会社が手数料も安く、商品も多いのでオススメです。
逆に面倒なことが嫌ならばなじみの郵便局や銀行で相談して口座を開設する方が良いかもしれません。
損得で考えるならネット証券、面倒は嫌だとか、誰かに相談したいというならば銀行か郵便局もしくは実店舗の証券会社が良いでしょう。
NISA口座で買える商品は?
つみたて投資枠ではつみたてNISA対象の投資信託。これは金融庁のお墨付きがある商品がほとんどなので、対象の商品を選択すれば大きく失敗することはないと考えられます。
成長投資枠ではそれ以外にも個別株やETFなども買うことが出来ます。個別株の場合は毎年の配当金ももちろん非課税になります。(NISA以外で買うと譲渡益や配当金から約20%の税金が取られます)しかしNISA枠の中で買うと損益通算が出来ないので、損をした場合は何のフォローもありません。得をしても税金がとられない代わりに、損をしても助けてくれないのです。
ですから成長投資枠を使える方も張り切って個別株に挑戦せずに積み立て枠と同じ商品を買い増ししていくということもお勧めできる戦略だと思います。
ところでそもそも投資信託とは?
投資信託とは株式や債券の詰め合わせのようなもので、それだけで個別株式よりはリスク分散になっています。
大きく分けると、一定のルールに従って内容を決めるもの例えば日経225連動とか、S&P500連動とか、全世界株式連動等の(インデックスファンド)とプロが中身を厳選して利益が出そうな内容を選ぶもの(アクティブファンド)に分けられますが、一般的にプロが選ぶアクティブファンドのほうが手数料が高めです。
例えば人気のあるインデックスファンドには
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)信託報酬手数料0.05775%
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)信託報酬手数料0.09372%
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)信託報酬手数料0.143%
人気のあるアクティブファンド
ひふみプラス 信託報酬手数料1.078%
セゾン資産形成の達人ファンド 信託報酬手数料1.34%±0.2%
等がありますが、信託報酬手数料とは年間に預かっている資産から取られる手数料なので、信託報酬手数料が0.05%と1%ならばどちらの方が利益が出そうか想像は難しくないと思います。仮に100万円運用するならば、手数料が0.05%なら年間500円ですが、手数料が1%ならば1万円取られます。
投資信託を買う時は目論見書等で買い付け方針や信託報酬手数料や買い付け手数料などの各種の手数料などが確認できます。
購入する際はその内容を確認して納得して購入する必要があります。
この辺りを考えて選択していくと、人気のある商品はなるほど選ばれる理由があるものだと理解できると思います。
具体的にNISA口座の使い方は?
例えば預貯金1000万円を老後資金として持っていた場合、毎年100万ずつ取り崩したら10年で枯渇します。
しかし1000万円を年利3%で運用しながら毎年100万ずつ取り崩していくと12年
年利6%で運用しながらだと16年
もし年利10%で運用出来たら永遠に枯渇しないという事になります。
でもそんな高利率で運用できるの?と思いますよね
新しいNISA制度の場合、年間で最大360万円までしか入金できないことや、実際は毎年の運用成績の上下があるのでこの計算の通りには行きませんが、利息や利子がほとんど0の現在、新しいNISA制度で投資信託等を購入することはお金を増やす手段の一つだと考えることが出来ます。
また、基本的には「長期」「分散」「積立」という手法で資産を運用していく事がリスク回避のためにも重要です。
ちなみに先ほど挙げた各種投資信託の平均利率は以下の通りです。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)2018/10から+109%年利約13%
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)2018/7から+142%年利約16%
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)2018/2から+61%年利約8%
ひふみプラス2012/5から+436%年利約13%
セゾン資産形成の達人ファンド2007/3から+277%年利約6%
このように考えると、年利10%の運用は全くの夢物語ではないことがわかると思います。
これまでの世界経済とこれからの世界経済は同様だとは思いませんが、ほとんどの投資信託が成長していることを考えると、全く増えない預貯金だけに頼っていることが今後も安全な事なのか?と考える必要があるのではないかと思います。
新しいNISA制度のつみたて投資枠で買うことが出来る商品は手数料が安く、初心者が選んでも大失敗はしないような商品が並んでいますので、長期(15年以上)、分散(株式や債券)、積立(毎月同じ金額を買うことにより安い時は多く、高い時は少なく買えるので高値掴みをすることが少なくなる)を心がけると試算を失う可能性は低くなると考えられます。
ただし、株式投資も債券投資も元本保証では無いので、上記のように必ず資産が増えるものではないという事を理解したうえで、一部の余剰資金を投資に回すようにすべきです。
ちなみに絶対に資産を減らすことのできない年金の管理運営をしているGPIFの場合、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券をそれぞれ25%ずつに配分して運用していますので、このような分散割合も参考になるかもしれません。
まずは小額からでも始めてみることが重要だと考えます。
また、iDeCoであれば投資資金は税金の控除にもなりますので、税率程度までは資産が目減りしても実質的に損失は無いものと考えられます。iDeCoの場合は60歳までは資金が拘束されることがデメリットではありますが、確実な老後資金であり、税金の優遇もありますので、NISAが不安であるならばまずはiDeCoを始めてみるのも良いかもしれません。
筆者自身も実はiDeCoから始めて、節税とともに資産が増えていくことを実感したのでその後NISAも始めました。
せっかく国が用意してくれたチャンスです。うまく利用して資産を増やしましょう。
ライフプランのシミュレーションなどもやっておりますので、興味がある方は問い合わせをお待ちしております。
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