30年近く給料が上がらない現在の日本
会社も給料を上げることが出来ないせいか副業を推奨し始めているようです。
もっと言ってしまえば雇われる働き方から自発的な働き方(フリーランス)へシフトといった流れも感じるようになってきました。
ところで、一家の大黒柱が亡くなった際の公共の保証はご存じでしょうか?
これは実は遺族が常に受け取れる年金ではありません。
まず遺族基礎年金は、受給要件はいろいろとありますが簡単に言うと、残された子か、18歳までの子のある配偶者にしか受給資格はありません。
したがって子供がいない夫婦の場合は受け取ることは出来ません。
これはサラリーマンでもフリーランスでも変わりません。
しかし遺族厚生年金は残された家族が受け取ることが出来る年金で、子供がいなくても配偶者などは受け取ることが出来ます。
この際55歳未満の夫は受給権がありません。(男女不平等ですが、55歳未満の男ならば自分で働けということなのかもしれません)
大黒柱が無くなって、残された家族のための遺族厚生年金ですが、これは厚生年金を1ヶ月でも払ったことがある人ならば家族に受給資格があります。
ただし受給資格の要件を見てみると、こちらは亡くなった側にいろいろと要件があります。
これも簡単に言うと厚生年金を払っている最中か若しくは厚生年金を受給している最中であるか、年金を25年以上支払ったか?(免除期間なども含まれるようです)という事なのです。
つまり、フリーランスになり国民年金になって、年金受給もまだで年金の支払いも(免除期間含む)25年経過していない時に亡くなったとしたら、その家族は遺族厚生年金が受給できないという事なのです!
ちなみに国民年金を払ってきて、遺族基礎年金がもらえなかった場合は死亡一時金か寡婦年金がもらえます。
死亡一時金は25年(300月)未満の場合17万の一時金。寡婦年金は妻(夫には出ません)が60から65までの5年間のみの年金受給になります。
せいぜいこんなもんしか残せなくなるようです。
ですから独立する際には年金支払い月数が300月を越えているかどうかご確認ください。
なお、未払いでも一部免除や全部免除の申請をすると上記の支払い期間に算入されますので、フリーランスになって年金の支払いが厳しいという方は未納にせず、ぜひ免除申請の手続きをお勧めします。
さらに慌てて会社を辞める前に確認すべき事がほかにもあります。
まずは健康保険の傷病手当金と出産育児一時金、出産手当金
傷病手当金はかなりざっくり言うと4日以上病気やけがで働けなくなり給料がもらえない場合に給料の約6割を1年6ヶ月までもらえるというものです。
出産育児一時金は出産すると約40万の一時金がもらえて、出産手当金は出産に伴って仕事が出来ない時に出産前42日、出産後56日の範囲で給料の約6割がもらえるというものです。
雇用保険はご存じの方も多いと思いますが、要するに会社を辞めて次の仕事に就くまでの間に給付金が出るほかに、様々な要件はありますが高齢者が60歳時の給料と比べて激減した場合に給付金が出たり、出産育児休業時に給付金が出たり(健康保険の出産手当金と併給出来ます)、スキルアップのために教育訓練を受けた時に給付金が出たりします。
労災保険は業務上や通勤中の傷病について本人は負担金が無しで医療が受けられます。また休業した場合は給料の約6割がもらえます(傷病手当金は業務上や通勤中以外の傷病が対象なので併給はありません)障害が残った場合は障害一時金や障害年金が給付されます。亡くなった場合は遺族(補償)一時金や遺族(補償)年金が給付されます。(こちらは遺族厚生年金や遺族基礎年金と併給の際は調整されます)
これらは労働者(サラリーマン)に対する手厚いフォローなのでフリーランスには用意されておりません。
現在お勤めでフリーランスを目指してこれから独立だ!と考えている方は以上の内容を良くご確認、検討くださいというお話でした。
2級ファイナンシャルプランニング技能士
AFP 小川守浩
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